昭和31年03月23日 参議院 予算委員会

[009]
無所属 中山福藏
第四分科会におきまする審査の経過を御報告いたします。

(中略)

次に法務省関係におきましては、少年院の収容状況とその教化方針はどう省所管の教護院とは一貫したものにする考えはないか、また在留外人、ことに朝鮮人の犯罪が多いようだが、外国人の登録ないし密入国者の取締りをどうやっているのか。歳入予算の増額5億8000万円の中で罰金及び没収金が2億9000万円となっているが、多額の罰金を収入に見込むのはどうかと思うという質問がありまして、これに対しましては、法務省並びに厚生省の担当から次のような答弁がございました。

現在少年院には、昨年11月末の統計で1万240名ほど収容されており、そのうち精神状態の平常な君28.7%、準平常な者が38.5%で、精神に障害ある者が32.8%となっているが、いずれも犯罪を犯し、またはその疑いある者として家庭裁判所から送られてきた者で、幼少からの環境によって不良化し、精神的にもひどく片寄っているから強力な矯正が必要である。厚生省児童局所管の教護院は8割の国庫補助で都道府県がやっているが、この方の収容対象は15才から20才までの少年で、ここで直らぬ者が少年院に送られることになっている。現在教護院に収容されている者は4800名だが、収容を要する者はその数倍にも達する見込みで、なるたけ少年院の厄介になる者を少くするよう教育補導には苦心している。少年院とても、少年刑務所と違い、教育機関であるから、この点教護院と十分連絡の必要があり、両者の一体化という点は今後検討したいと思う。

また在留外人については、64万人のうち朝鮮、韓国人が57万人、中国人が4万3000人となっており、犯罪については現在刑務所にいる者6万人のうち、1割近くが朝鮮人である。つまり犯罪の比率からすれば朝鮮人は日本人の10倍以上になっているわけで、窃盗とヒロポンなどの密造が犯罪のおもなるものである。出入国管理令により犯罪者の国内退去を命ずることは、国際慣習からもそうなっているが、韓国側が引き取りを拒否しているので、やむなく悪質者を大村収容所に送っているが、この中には密入国が多いのに強制送還もできないので、この処置には困っている。

外国人の登録については一時登録証のやみ相場が10倍にもなったことがあるが、外人登録法の改正によって指紋をとるということになって以来、よほど厳重になった。